2022/02/11 09:41

織物美術家「龍村光峯」さん。
古代裂など伝統的な織物の研究に尽力し日本最高峰の美「錦」を極め、京都で伝統織物を制作していらっしゃる名門織元さんです。
初代「龍村平蔵」(号・光波)、二代「龍村平蔵」(号・光翔)、織物美術家「龍村光峯」、そして錦織作家「龍村周」へと4代に渡って継承された技術をもって至高のものづくりをなさっています。
作品としては皇太子妃殿下御婚礼用の御支度品をはじめ、東宮御所、京都迎賓館などの錦織額作品等、錚々たる名品があります。
今回はその美術織物の最高峰織元・「龍村光峯」さんの錦織工房へお邪魔して、お話をお伺いしました。
「龍村光峯」さんが作品作りで最も意識していらっしゃるのは “「品格」を持たせること”。
「品格」を持たせるためには、一つ一つの工程にこだわり各職人さんにきめ細かな指示を出し、それらを一つにまとめ上げる研ぎ澄まされた感性と織美への熱い想いがものをいいます。
1つの作品を完成させるまでに「図案作成」、「紋意匠図作成」、「紋彫り」、「製糸」、「糸染め」、「糸繰り」、「製経」、「ジャカード」、「綜絖」、「金銀箔・金銀糸・模様箔作成」、「製織」…と実に多くの工程があり、なんと70人以上もの職人さんの分業体制で一本の帯が作られるそうです。
「糸染め」の作業一つをとっても既存の色を安易に使用するのではなく、イメージどおりの表現が出来るまで調整し試し織りを繰り返しているということ、また工程毎に専門の職人さんがいて、例えば経糸を機械に通すという「綜絖」は、数千本にもなる経糸を操り、織組織を決める工程には高度の熟練が必要で「綜絖職人」として一人前になるのに10~15年かかること、等を伺いました。
一つの工程に、専門職として生涯をかけて取り組む職人さん達がいるということを知って驚き、その方々によって一本の帯が仕上がるまでに掛かる手間暇と高い技術、そして細部にまで感じさせられる美へのこだわりに思いを馳せると、作品を手に取らせて頂く事への有り難さや重みを感じ頭が下がる思いがしてなりません。
歴史に残る、見るも見事な華やかな意匠。
正に「最高峰の美術染織品」と呼ばれる「龍村光峯」作品を、今後ご紹介して参りますので、どうぞお楽しみにお待ち下さい。